悲しみのノクターン

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到着時刻は10時。あり得ない時間に白昼堂々と会う約束だ。 ロジェが指定したのは、地下街にあるカフェだった。 太陽の陽射しが届かないこの店は、私達が会うには絶好の場所だ。 何事もなくテーブルにつく。 何も注文できないが、連れてきた見張りにエスプレッソをご馳走し、ロジェを待った。 10分後、ひんやりとした空気と共にロジェが 現れた。 「変わりないか。」 「えぇ、もちろん。 麗奈はどうですか?」 「今はまだ理性を保っている。 しかし、時間がない。手は尽くしているが、人としての体力ではまもなく限界だろう。」 背中に寒気と震えを感じた。 私がロジェと出会ったとき、私には選択肢らしきものはなかった。 万が一、彼女も私と同じように選択肢がなかったとしたら、命は保証できない。 そこにあるのは、我々と同じ道を辿るのみ。 それだけではない、美雨が麗奈を今までのように扱うわけがない。 自分のように力を与えるため、必要以上の狩りをさせるだろう。
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