17人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
到着時刻は10時。あり得ない時間に白昼堂々と会う約束だ。
ロジェが指定したのは、地下街にあるカフェだった。
太陽の陽射しが届かないこの店は、私達が会うには絶好の場所だ。
何事もなくテーブルにつく。
何も注文できないが、連れてきた見張りにエスプレッソをご馳走し、ロジェを待った。
10分後、ひんやりとした空気と共にロジェが
現れた。
「変わりないか。」
「えぇ、もちろん。
麗奈はどうですか?」
「今はまだ理性を保っている。
しかし、時間がない。手は尽くしているが、人としての体力ではまもなく限界だろう。」
背中に寒気と震えを感じた。
私がロジェと出会ったとき、私には選択肢らしきものはなかった。
万が一、彼女も私と同じように選択肢がなかったとしたら、命は保証できない。
そこにあるのは、我々と同じ道を辿るのみ。
それだけではない、美雨が麗奈を今までのように扱うわけがない。
自分のように力を与えるため、必要以上の狩りをさせるだろう。
最初のコメントを投稿しよう!