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「剣斗はどうしているんですか?」
その質問に、ロジェの顔が強張った。
「案ずるでない。死んではいない。
ただ、深傷をおった後遺症はまだ癒えぬ。」
剣斗は、美雨から麗奈を守ろうと必死だった。
それが美雨が二人を気に入らない原因にもなった。
わざわざ同胞まで探し出し、麗奈の心を支配できないかとムキになったのは、さながら駄々を捏ねる子供のようだった。
未だに手に入らない麗奈を手放そうともしない。
どんなにムキになろうと麗奈の心は美雨のものにはならないのに。
剣斗はもともとロジェが拾った猫のような存在だった。
どんなときでもロジェに忠誠を誓ったように、片時も放れない存在であった。
私達とは違う存在であったにも関わらず、ロジェを慕っていたのだ。
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