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「麗奈…」
麗志の手を久しぶりに感じた。
少しひんやりする手は、以前より痩せ細っていた。
「目を覚まして良かった。」
相変わらず優しい。
美雨も出会った頃は優しかった。
それなのに、なぜ変わってしまったのか。
こんなにも麗志に愛されているのに、なぜ変わってしまったのか。
私には何もわからなかった。
「顔色が悪い。話せるか?」
声は出なかった。
ただ首を振ると
「心配するな。」
ただそれだけ声にして、もう一度私の頬に触れると、
「私が何とかしてみせる。」
そう言ってすぐにいなくなった。
わかっていた。
もうどうすることもできないことを。
私が一言、従うと言えば済むことなのかもしれない。
でも、今の私には受け入れられなかった。
非現実的な存在に自分がなることを受け入れることなんてできなかった。
それが、何もかもの苦しみから逃れられるとしても、受け入れることなんてできなかった。
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