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静かに美雨の棺の横へ立った。
安心した。
ぐっすり眠っているようだ。
気づかれていないと確信できた。
出会ったあの日から、私達はずっと共にこうしてきた。
棲む場所も変えず、使用人達も変えず、何もかもあの日のままのはずなのに…
私の愛も何一つ変わっていないはずなのに、なぜこうなってしまったのか、考えるとぞっとする記憶が甦る。
あの日、私が選んだ選択肢は間違っていたとしか思えなくなった。
美雨のために選んだ選択肢だったはずなのに、今はおぞましく恐ろしい結果を招いたにすぎない。
それは、私の経験の未熟さが招いた悪夢。
私の愛が間違っていたとしか思えない結末。
この先は暗闇の中だ。
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