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「剣斗、痛みはないか。」
ロジェに救われた俺は、ひっそりと身を隠していた。
見つかったら命はない。
仲間らしい仲間がいない俺にとって、ロジェは大切な人だ。
黒羽の俺にも優しく、差別せずに接してくれるからだ。
麗史も同じだった。
俺にとって、二人は大切な家族のような存在だ。
「案ずるな。麗奈のことは私に任せろ。必ず救おう。
私達の名誉のためにも。
お前の傷も、そのうち癒えよう。
無理するな。」
俺の傷が癒えたところで、麗奈の心はいつ癒えるのか。
人に裏切られ、信じていた美雨にも裏切られ、傷つけられて、麗奈の心はいつ癒えるのか。
動かない自分の体を呪うしかなかった。
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