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気配を消し、ロジェに守られる日々は、俺にとっていいことではなかった。
ロジェは優しく慈悲深い人だ。
こんな俺の気持ちを気づいていないわけがない。
今、存在するヴァアンパイアの中で、最も気高く秀麗な方だ。
そして、最も永くこうして存在してきた。
それは、君臨ではない。
支配などしない。
下の者であっても、俺のような黒羽であっても、何の差別もなく全ての者に愛を注ぐ方だ。
全ては、皆が平等であるように…
ロジェはヴァンパイアでありながら、キリストのような愛の持ち主なんだ。
それなのに、美雨は、力に魅せられた。
傍に麗志がいるのにも関わらず、彼の愛を踏みにじったんだ。
彼よりも力を愛してしまったんだ。
彼女にロジェを越えられるわけがない。
力など何の意味もない。
彼女に、ロジェの素晴らしさはわからないんだ。
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