苦悩のソナタ

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血の匂いに間違いを犯しそうだった。 「あなた、大丈夫?病院へ」 そこまで言ったところで、彼女は私の唇に触れた。 消えそうな声で 「美雨」 と呼んだの。 彼女の鼓動は消えかかっていた。 ほおっておいたら、確実に死んでしまう。 それなのに、彼女は 「美雨」 ともう一度呼んだあと、私にキスをしたの。 口の中は血だらけだった。 拒否なんてできなかった。 それは、麻薬と同じ。 喉へ流れる彼女の血液は、私を縛り付けた。 駄目だとわかりながらもやめられなかった。 傍から見たら、レズビアンだわ。 でも、やめられなかった。 彼女の血液は、耐えられないほど甘かったの。 「会えて良かった」 そう呟いて息絶えた。
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