17人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
血の匂いに間違いを犯しそうだった。
「あなた、大丈夫?病院へ」
そこまで言ったところで、彼女は私の唇に触れた。
消えそうな声で
「美雨」
と呼んだの。
彼女の鼓動は消えかかっていた。
ほおっておいたら、確実に死んでしまう。
それなのに、彼女は
「美雨」
ともう一度呼んだあと、私にキスをしたの。
口の中は血だらけだった。
拒否なんてできなかった。
それは、麻薬と同じ。
喉へ流れる彼女の血液は、私を縛り付けた。
駄目だとわかりながらもやめられなかった。
傍から見たら、レズビアンだわ。
でも、やめられなかった。
彼女の血液は、耐えられないほど甘かったの。
「会えて良かった」
そう呟いて息絶えた。
最初のコメントを投稿しよう!