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遊びだった。
そうして、観ることが楽しいことだからだ。
人と言う存在を愛でる行為は、嘗ての自分を思い出すためにも必要だった。
狩るだけの悍ましい存在にならないために。
しかし、出会ってしまった。
愛らしく美しいのにも関わらず、嫌味のない君は、私にとって女神のように映った。
ただ君を見ていることで、この荒れ果て荒んだ存在であることが、洗われるようだったからだ。
でも、君は気づいてしまった、私の存在に。
すぐにはっとした。死期が近づいていたからだ。
死神が微笑みながら待っていた。
その微笑みは恐ろしく美しいことが物語っていた。
君から吸い取る命は輝きを増し、君を闇へと誘おうとしていたのだ。
そう、君は選ばれてしまったのだ。
ごめんよ。
私に出会わなければ、人として美しい人生で終われたのに…
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