別れのワルツ

2/12

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
痛い。 息ができないくらい、喉が灼けるようだった。 出せる力を振り絞り、目を開けると戸惑うロジェが私を見ていた。 「すまない。私達のせいで、君をこんなにしてしまうなんて… すまない…、すまない…」 見つめれば、ロジェの見透かす瞳が物語っていた。 私も選べばいいって。 永遠に彼らと共に歩む道を。 でも、言わないのはロジェが優しいからだ。 永遠になったとて、そこには虚しさ以外に何もない。 死にゆく方が幸せだと知っているからだ。 永遠は心を闇へと引き渡すこと。 永遠の命と引き換えに、心を売り渡すこと。 永遠に生きても、何の意味もないということなのだから。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加