別れのワルツ

7/12

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
ほんの一瞬だった。 カーテンは閉められているから暗い。 でも、木漏れ日から朝が来たことがわかる。 傍らに寄り添うロジェは私の手を握り、苦痛に満ちた顔をしていた。 「どうかしたのですか?」 驚くほど声が出る。 額に汗が滲むのに、気分は悪くもなかった。 「麗奈、全ては私の責任だ。 終わった、全て終わったんだ。 私の愛すべき二人は永遠となった。」 頬を涙が伝った。 そんな、麗史まで? 「ロジェ…」 「麗奈、私達は消えよう。 愚かな私達は、消えゆく者だ。 悲しむな、いいな。 間もなく剣斗が来るだろう。 麗奈よ、どうか二人を許してくれ。 もう会うこともないだろう。 剣斗とも、今日でお別れだ。」 待ってとは言えなかった。 行かないでなんて言えない。 何かが燃える臭いがした。 震えた。震えが止まらなかった。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加