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ほんの一瞬だった。
カーテンは閉められているから暗い。
でも、木漏れ日から朝が来たことがわかる。
傍らに寄り添うロジェは私の手を握り、苦痛に満ちた顔をしていた。
「どうかしたのですか?」
驚くほど声が出る。
額に汗が滲むのに、気分は悪くもなかった。
「麗奈、全ては私の責任だ。
終わった、全て終わったんだ。
私の愛すべき二人は永遠となった。」
頬を涙が伝った。
そんな、麗史まで?
「ロジェ…」
「麗奈、私達は消えよう。
愚かな私達は、消えゆく者だ。
悲しむな、いいな。
間もなく剣斗が来るだろう。
麗奈よ、どうか二人を許してくれ。
もう会うこともないだろう。
剣斗とも、今日でお別れだ。」
待ってとは言えなかった。
行かないでなんて言えない。
何かが燃える臭いがした。
震えた。震えが止まらなかった。
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