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きっと、美雨を生かしてなんておきたくなかったに決まっている。
憎しみと恨みのような気持ちで殺意を覚えたはずだ。
それでも、なぜ許せたのか。
娘のようにきっと愛すべき女(ひと)だったからだろう。
弟子であり息子のように過ごしてきた麗史が、悩み苦しんでいる姿を見て、ほおっておけなかったに決まっている。
人であった美雨を愛してしまった麗史に、自分を重ねたのかもしれない。
自分がエルザを愛してしまった時と重ねたのかもしれない。
私はエルザを知らない。
でもきっと優しい人だ。
ロジェと同じように、優しい人だと思えてならなかった。
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