悲愴のセレナード

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「剣斗、私を送って。 二人と話してくる。」 「どうして?! そんなのダメだ! 帰ったらもう会えないよ!」 「このままじゃ、命を奪われるから!」 私が帰ればきっと丸く収まる。 話し合えば、きっと美雨さんならわかってくれる。 「大丈夫だから。待ってて。約束する。」 そして私はすぐに屋敷へ帰った。 門を入るなり殺気を感じだ。 だから、剣斗にはすぐに帰ってもらった。 これ以上は危ない目に合ってほしくないからだ。 玄関を入ると、美雨さんが待っていた。 「麗奈! 帰って来てくれたのね!」 涙目で抱き締められ、安堵した様子で笑顔を見せられたけれど、あの時感じた恐怖は消えていなかった。
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