悲愴のセレナード

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「もう、やめて! これ以上、幻滅させないで! 二人を信じていたのに! 美雨さんも、二度とあんなことをしないで!」 立ち上がり背を向けたのに、そこから動くことができなかった。 また声が出なくなった。 信じていたのに、美雨さんがこんな酷い仕打ちをする人だったなんて知りたくなかった。 「麗奈、しばらく外出禁止です。 何が大事なのか考えて下さい。 中嶋、麗奈を地下の一番奥の部屋へ連れて行きなさい。」 「美雨様、あの部屋は!」 「もういい!私が連れて行く!」 遠退く意識の中、初めて見た美雨さんの顔だった。 麗志と同じ眼と肌色で、首筋やこめかみに血管が浮き出ている。 絶望と言うのはこういう気持ちを言うのだろうか。
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