悲愴のセレナード

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私をいとも簡単に担ぎ上げ、乱暴に地下へ降りた美雨さんは、一番奥の部屋へ私を降り立たせると、あっという間に部屋へ明かりを灯した。 「麗奈、あなたが反省して彼に近づかないと約束してくれると信じているわ。」 大きな音を立ててドアを閉めたかと思ったら、荒々しく鍵を閉め何の音もなく消え去った。 立ち尽くした。 もう、ここからは出られない。 そっとポケットに手を突っ込んだ。 取り出したそれは無惨にもバラバラになっていた。 剣斗と繋ぐ、唯一の手段だったのに、もう何の意味もない。 ここから二度と出られないかもしれない。 結局、私は彼らの言いなりになるしかないのだろう。 もう、人形と同じだ。
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