悲愴のセレナード

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何もないこの部屋にあったのは、テーブルとイスにベッドのみ。 光が入る窓なんてどこにもない。 それはわかっているのに、無性に空を見上げたい気持ちで涙がこぼれた。 バラバラになってしまったキーチェーンに手を添え、剣斗を思った。 酷い、あんまりだ。 ここは地下なのだから来られるわけがないのに。 テーブルにそれを広げ、繋ぎ合わせられないかと試しても、粉々に近いほど壊れていてどうすることもできなかった。 辛うじて着いている灯りも薄暗い。 このままここに居続けたら、ノイローゼになりそうだ。 ふと、壁の一角にカーテンのような布がかかっているのを見つけた。 布自体は少し古いような様子で、埃っぽくも感じた。
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