悲愴のセレナード

19/30
前へ
/155ページ
次へ
「これは何ですか?」 「私達の棺よ。 傷ついた体を癒すためには必要なの。 私達は時に狙われる。 味方か敵かもわからない状況下に置かれることもあるの。 長く存在しなければならない私達にとって、必要なものなのよ。」 一呼吸置いたあと、美雨さんは私を抱き締めた。 「怖がらないで。 あなたをどうにかしようなんて思っていないわ。私達の大切な娘ですもの。 でも、あの男と関わるのはやめて。 約束できるわよね?」 そこ有無も言わせぬ物言いに、身震いがした。 剣斗の何がいけないのか、その理由が知りたい。 だって、何も危害を加えられたわけでもないところか、私を今のままでいられるように考えてくれていると思っている。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加