悲愴のセレナード

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囚われの生活で光を失い、時間さえもわからない私にとって、食事が運ばれることが唯一の時間を知るチャンスだった。 朝食は朝七時、昼食は正午、夕食は夜七時。 ご丁寧に、午後三時には紅茶と甘いものが運ばれてくる。 それ以外にできることは、数日に一度運ばれる本を読むことだけだ。 次第に気力が失われるようになった頃、ようやく、美雨さんが現れた。 「麗奈、聞いて。 あなたにぴったりの男の子を見つけたわ。」 まるで輝いているような明るい顔だ。 声が弾み、踊りだしそうなほど。
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