悲愴のセレナード

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「毒なんて入ってないよ。」 悪い人だと思うのは決めつけ? あの二人が選んだ人だと思うと構えてしまう。 恐る恐る蓋を開けると、笑っちゃうほど泡が出て飲み物が溢れ出した。 「えぇ?! ヤダー!」 恥ずかしいほど大きな声。 手はびしょ濡れで、危うく洋服まで濡らしてしまうところだった。 こんな子供騙しのイタズラに心が解放された気がして笑ってしまった。 「笑った方がいいよ。」 彼の手が私の髪に触れた。 「あいつが羨ましいよ。」 影のある声。 空を見上げず、太陽に背を向けているのはあの理由のせいだ。
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