17人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
美雨は残酷だ。
生きていた頃の優しさや儚さがなくなってしまったせいか、思い通りにならないとわかると見るに耐えない姿に変えてしまう。
そんな美雨が麗奈に優しくしたのは、やはり、ロジェが連れてきた娘だからか。
誰でもいいわけではないようだ。
連れて来る娘達は皆、美雨を姉のように感じながら恐怖を覚えるようになる。
優しさの裏側にある支配欲。
そして、おぞましいほどの貪欲さ。
俺にとってロジェは師匠と言うべき偉大な人であるし、麗志もまた同じだったのに美雨は違った。
黒羽の俺にも優しく、決して差別しない人なのにだ。
麗志が慕う度に機嫌が悪くなるばかりで、なぜ、自分よりロジェを優先するのか、なぜ、自分よりロジェを愛するのか。
美雨の独占欲は満たされなかったのだ。
それが、子供でも動物でも、女だろうが男だろうが。
最初のコメントを投稿しよう!