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そんな世の中で、我々が血をいただいたところで誰が咎めようか。
私はそうして生き長らえてきたのだ。
でも、そんな時代は終わった。
科学技術や医療技術が目まぐるしく進歩し、人々は争うことを嫌うようになった。
確かに、内戦と言うものが存在し、いまだにたくさんの人が血を流しているが、我々が生き長らえてきた世の中よりも平和で殺し合わない世界だ。
だからこそ、我々は変わらなくてはいけなかった。
行き長らえるために、血液の入手ルートを確保した。
口の固い人を側に置き、彼らから少しずつ血をいただいた。
そうすることで、嘗て闇夜の悪魔の存在であった我々が、気づかずわからない存在となったのだ。
野心は捨て、静かに共存する。
それが我々が選んだ道なのだ。
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