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二人を観察していた俺を見つけたのはロジェだった。
共に過ごしたヴァンパイアが不慮の事故で灰になり、尚且つ、美雨のことで頭を悩ませていた。
そんな時、屋敷の庭に潜む俺に気づいたんだ。
もちろん、殺られると思った。でも、彼は優しかったんだ。
「1人か?」
彼は俺より背が高い。
あのグレーの鋭い眼で見下げられたら、誰だって殺られると思うはずだ。
でも、違ったんだ。
「私について来るか?」
彼は俺の肩に手を置いた。
「悪いようにはしない。
私について来い。」
ただそれだけだった。
俺の本来の姿を見ても驚かなかった。
「そうか、そうだったか。
気にするな。私の目も衰えたか。」
むしろ、彼は俺をヴァンパイアだと思ったことを恥じた。
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