黒い羽の騎士

17/21

17人が本棚に入れています
本棚に追加
/155ページ
二人のことは、私がよくわかっているつもりだった。 でも、それは以前の話で今は当てはまらない。 私の能力は既に限界で、今以上に美雨を抑圧することなどできないからだ。 確かに、現状は何とかなっている。しかし、エルザがいない今、無駄な努力だ。 あの日、私が眠らなければ、例え眠っても結界を張ることぐらいできていたならば、エルザを守れたかもしれないのに。 眠りから覚めたとき、目の前に美雨がいた。 「エルザ、酷いのよ。 私を怒らせて何が楽しいのかしら。心配しないで、私がいればエルザがいなくても大丈夫よ。」 そう言うと笑顔を見せ、私の目を見た。 でも、その目は笑っていなかった。
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加