三成の決心

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三成の決心

秀吉の亡骸が運ばれたあと、三成は、家臣に向かって、「徳川どのに、秀吉さまが亡くなられたと告げ。」 家臣は驚いた。 なぜ、奉行たちには、口外するなと言っていたのに、これまで敵対してきた家康に秀吉の死を伝えるのか。 「本当にいいのですか?」 三成は答えた。 「よい。徳川どのは筆頭大老なのだから、知っていて当然だ。」 本当は、家康だけには、秀吉の死を知られたくなかった。 家康が、秀吉の死を、喜ぶと分かっていたからだ。 三成は、自分に問いかけた。 (では、なぜ、私は、秀吉さまの死を家康に伝えるのか?) その答えは、三成が、思っていることだった。 ーー家康よ。私は、豊臣家の天下と幼い秀頼ぎみを守る。決してそなたには負けない。 その思いを家康に伝えたかったのである。 それは、新たなる戦のはじまりだった。
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