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秀吉が、亡くなった。
石田三成は、ひどく、悲しんだ。
秀吉は、自分を育ててくれた、父親みたいな存在だった。
だからこそ、三成は、秀吉の死を、誰よりも、悲しんだ。
しかし、泣きはしなかった。
本当は、泣き叫びたかった。
その死を、ぞんぶんに、嘆きたかった。
しかし、今は、ダメだった。
今は、三成には、やらなくてはいけないことがあったのだ。
三成は、前田玄以、増田長盛、浅野長政、長束正家ら、四人の奉行たちに、
「秀吉さまがお亡くなられたこと、一切口外してはなりませぬぞ。」と、
冷静な口調で言った。
それはなぜか。
それは、朝鮮で戦を続けている、加藤清正、小西行長、らの武将と、十四万兵を、急いで日本へ帰還させなければならなかったからだ。
もし、敵国である明や朝鮮に、秀吉の死を知られてしまうと、無事に帰還させることは困難になってしまうからである。
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