それでも生きていく

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私は帰宅後彼のSNSを見た。 ご親族のご挨拶に500件以上のコメントがついており、私はできる限り読み進めた。 大半はお悔やみだが、中に死への批判と反論。生の意味と理由など意見が交わされている。私が語った番組の内容についても推論などが飛び交っている状態だ。 私はお便りだけの問題と思っていたが、すでに多くのリスナーが知っていることを認識した。前回の放送のエンディングで私が生と死について語ったから、反響はかなりあるかもしれないと思う。 収録日。今日も日差しが激しく差し込んでくる夏の日だ。 お便りは想像を超えていた。普段の数倍のお便りが届いていた。 小此木ディレクターも安田さんも圧倒されている。そんな量が届いた。 彼の自殺についてがほとんどだ。そして純粋に前回の放送ラストの発言についての関連についての質問や批判、死生観について、生と死について悪意を含んだ発言、そして自分も死にそうだと言うお便りも含まれている。 私は小此木さんに番組後半で語りたいと言った。 「大丈夫かい?」 「私はもう話せます。伝えたい。」 わかった構成を変えよう。と、小此木さんは構成表にペンを走らせた。 「先週と比べて活き活きしてるよね。」 安田さんはお便りを読み、内容によって分類しながら私の表情の変化を教えてくれた。「なんか吹っ切れてるよ。」 なんかあったのかなぁ、と安田さんもニコニコしている。 私はお便りを読みながら、気合いの沸き立つのを覚えた。伝えたいことに不安はない。話す事が明確にできたので、恐れる事はない。胸を張った。 お便りを読み続けた。気分の良い内容だけではなかったが、だからどうしたと言うのだろうと感じる。文章の向こう側を考えたり、安田さんに意見を求めて見たり、私は私としてお便りを読み続けていた。 すべて読み終えて、1度休憩してから収録になった。外は夕暮れになり、蒸し暑さが夏という季節を教えてくれる。 前半の収録が始まった。 いつものオープニングコール。いつもの音楽。いつもの挨拶をして番組は滑り出した。お便りを読みながら安田さんと掛け合い。いつものように進行した。 私は心から楽しみ、素直に反応してトークをした。 そして前半戦の収録を終えた。 後半戦はより想いを込めてトークするつもりだ。
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