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霧がかかる小さなバス停に、ベンチがひとつ。そこにひとりの男が煙草をくわえて腰掛けていた。年の頃は四十半ば、時おり小さく貧乏揺すりをしながら、じっと到着を待っている。 あぁーちきしょう…。 まだ来ねぇ。…いや、来ない方が良いんだがよ。 ゆっくり来いって、俺っちが言ったんだしな。こんだけ時間かかってんだ、ちゃんと挨拶できてんだろうな?俺っち、挨拶もそこそこに来ちまったからなー…。 そういや、いつも待ち合わせはアイツが先だっけなぁ。 たまには俺っちがこうして待つのも悪かねぇか。
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