夢幻泡影

4/4
前へ
/152ページ
次へ
   「俺の番やね」  「待て!トウジ・・・待ってくれ。何かイスから動けないんだ・・・だから!・・・」  「大丈夫や。前にも言うたけど俺たちは少し先に行ってるだけやから・・・後からゆっくり来たらええ。それに俺たちはいつだって側にいるんやで・・・・・せっかくみんなで繋いだんやから根性見せろよ!じゃあな!」  「待って・・・・」  トウジは元気よく教室から出て行った。  「・・・・・・・・」  あれだけ騒がしかった教室が瞬く間に静かになり、教室にはユキが残っていた。  「私の番になっちゃったね・・・・」  「ユキ・・・・お前も行くのか?」  「うん・・・もう行かないといけないんだ・・・最後にお別れを言おうと思ったんだけど・・・何を言ったらいいのかわからなくいなっちゃった・・・」  「ユキ・・・俺も一緒に連れてってくれ・・・・みんなのところに行きたいんだ!」  「ごめんね・・・それは出来ないんだ・・・・サーちゃんには3年A組の代表として生きて欲しいって・・・みんなで決めたんだ・・・」  「待ってくれ・・・・置いていかないでくれ・・・」  「大丈夫だよ・・・みんなちゃんと側にいるから・・・・みんなの分まで長生きしてね!」  「ユキ!行くな・・・」  ユキはバイバイと手を振ると教室から出て行った。  一人残された教室で泣いた。教室が歪んで崩れ落ち、意識は闇の中に消えていった。
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!

127人が本棚に入れています
本棚に追加