異世界転移 クラスで生き残れたのは僕だけなのか？

白いダンジョン

　
　トウジの能力はピンチのときにしか発動しない奥の手と言う攻撃特化型の能力だ。最初は活躍していたけど今では中の集団で温存されている日々だった。かく言う僕も脱出専門の能力である１０ドアとモンスターを発色させる補助的な能力しか持っていない。僕たちは仲良し中段グループと言ったところか。

　ちなみに１０ドアは扉１０個分の転移を可能とする能力で大概は出口に辿りつける。ただし扉に対してしか発動できないので扉の無いダンジョンでは使用できない。

　「ああ・・・。でも仕方ないからな。いざとなれば脱出すればいいじゃんか」

　実は僕たちは今お金が欲しかったのだ。３０人だと攻略も楽だが生活費諸経費もばかにならない。お金はあるに越したことはないので危険でもまとまった大金が必要だった。

　「まぁそうなんやけどな」

　この世界に来てから活き活きとしてきた連中もいれば危険な目に会うのが嫌で帰りたがっている連中もいる。皆思惑は異なるものの危険な生活から足を洗い元の世界に帰る手段を模索したい者が大半を占めているのだろう。

　話している内に先頭が止まった。どうやら分岐点でもあったみたいだ。