第0章-始動-

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「毎年毎年スーパーコンピューターで演算処理やっていった結果、なにが起こったと思う?」 「なんですか?」 「学校平均が例年と違う年があったんだよ」 「違う年ですか?」 「そうなんだよ。そりゃあ入学するやつらは違うんだから、学校平均は毎年多少は違ってくるんだが、入ってくるやつらのタイプ、本質はだいたい同じだから平均も自ずと似たり寄ったりになる」 「そんなもんなんですか?」 「ただ、その中で優秀な生徒ばかりが来る年がある、その逆パターンもあるが」 「なるほど」 「それでだ、学校側はそれを見て一つ思った、本当にスーパーコンピューターの演算処理は正しいのか」 「スーパーコンピューターなんだから正しいんじゃないんですか?それまでそれでクラス分けしてきたわけですし」 「そう、スーパーコンピューターだから結果は演算処理した通りになった。そして学校側は確信を持てたと共に一つの考察に行き着いた」 「考察ですか?」 「スーパーコンピューターの結果は正しい。では、もしその学校平均が例年よりはるかに下回ったらどうなるのか…ってことだ」 「言い方悪いですが、生徒たちの質が悪いってことですか?」 「そういうことだ!もしそういうことになれば、学校の評判は落ちる。それである機関に相談したんだが、そこである提案をされた」 「バランサー制度ですか?」 「ああ、そうだ。バランサー制度ってのはその学校平均を調整するためにどこからか生徒を連れてきて、その学校に入学させるんだよ」 「どこからってどこなんですか?」 「さぁ、どこなんだろうな…とにかく、お前の仕事はその生徒を補助、サポートするのが仕事だ」 「サポート…」 「ちなみに、バランサー制度適用されたからって、そのバランサーたちがみんな優秀ってわけじゃないからそこら辺気をつけろよ」 「学校平均が低くて、その調整するんですから優秀じゃないといけないんじゃないですか?」 「例えば、優秀なやつらが入ってくるとする」 「はい」 「優秀な生徒が多いってことは、学校平均も高くなる。」 「はい、でも学校にとってそっちの方がいいんじゃないですか?」 「まぁな。その年はいいかもしれんがそれからはどうなる?」 「それからの年なんてわからないですよ」 道永教諭はこれだから新人は…といった風に溜息をつく。
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