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「あのな…学校平均が上がるということは、ハードルが高くなって行くってことなんだよ」
「ハードルなんて高くなるほどいいのでは?」
「働いてみりゃわかるが、そんなのは子どもの幻想だ…大人になれば、出世欲あるやつもいるが、なんだかんだ現状で満足してしまう」
「はい」
「学校側は学校平均を上げるのではなく、一律の評判のいい学校を作り上げたいんだ。つまり、ある年に成績が落ち込むとそれだけでマイナスのイメージになる」
「まぁ、はいわかります」
「平均50点だった学校が一時的に70点を超えたとして、そのあと30点に落ち込んだ…いや、元々の50点に戻ったとしたら、一見戻っただけだと思うが、世間からすれば落ち込んだというマイナスイメージが付いてくる」
「言いたいことはわかりましたが、そのバランサー制度をすればいいのでは?」
「おいおい、マジかよ…こんなやつで本当に大丈夫なのか?あのな、バランサーというはバランス調整するってだけなんだよ。バランサー制度適用ということはプロジェクトとして始動しなければいけないんだよ。それを毎年やるなんて無理だ。それに…」
「それに?」
「さっきも言ったと思うが、生徒たちの本質は変わらねぇ。高い平均を基準にしたところで、それに見合うやつは入ってこない。要はバランサー制度ってのは、最終手段、つまり補正なんだよ。だから、優秀な生徒たちが多く入ってきても、バランサー制度は適用される。」
「あっ、だから、バランサーは優秀な生徒だとは限らないってことなんですね」
「そういうことだ。」
「バランサー制度のこと、わかりました。そういうことであれば気を引き締めて頑張ります!」
その言葉に不安な顔を浮かべる道永教諭
「バランサー制度は学校にとって重要なことだから、くれぐれもバランサーが誰なのかを関係者以外に喋るなよ?まぁ、これを完了すれば、将来は保証されたようなもんだから頑張れよ。あと伝えることとすれば…」
こうして、バランサー制度が始動する…
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