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第1章-招集-
「これより、1年B組の最初のホームルームを行いたいと思います。」
そう言って、漫画やドラマにあるよくある風景が始まる。
「まずは自己紹介からしようかな」
そう言ってクラスのホームルームを進めるのは、担任の女性教諭松本先生である。
国立天場高校…この学校は選ばれたものしか入学することができない国直属の高校である。
とは言え、そんな大それたものではなく、言ってしまえば受験勉強なんて無意味な学校である。
この学校の受験制度はとても珍しく、受験というものがない。
この学校の入学できる条件は特になく、なにが基準で入学できるのかわからない。
というのも、この学校にあるとされるスーパーコンピューターが入試志願した受験生の中から様々なデータを元に合格不合格を決めるらしい。
つまり、中学…いや、それまでの人生を元にいろんな分野を数値化し合否を決めているのである。
ただ疑問なのは、成績が良くない生徒やいわゆる不良といった者もいる。
こういう状況であるから、誰が合格するかなんてわからないのである。
「翔鳥君!翔鳥詩音君!次は君だよ」
うちの高校の不思議について考えてたらどうやら順番が回ってきたようだ
「翔鳥詩音(かけどり しおん)です。よろしくお願いします。」
少しやる気無さそうな男子生徒がいるがそれが俺だ。
「翔鳥君?もう少しなにかないの?部活はなにやってただとか趣味はなにかだとか」
先生はちょっと心配してる様子である。
「特にないです。」
「そ、そう…じゃあ、次の子お願い。」
この学校には受験がないというだけで、俺にとっては魅力的な学校である。
なにもしなくても人生が進んでいくって、なんていい響きなんだろうか。
俺の人生は俺の手で切り開く!なんて漫画の主人公は叫んでるけど、平凡が一番なんだよ平凡が
それも努力せずとも、その平凡が手に入るならこの上ないじゃないか。
不合格だったらどうしてたかって?そんなことは考えたこともないし、考えたくもない。なにかあればその時考えればいい。それが俺の考えである。
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