序「カードマンは何故大ヒットしたのか?」

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序「カードマンは何故大ヒットしたのか?」

「なんで、こんな設定にしたんですか?」 「だってそうしないとスポーツにならないでしょう!」 原作者は『カードマン』をスポーツにしたかったようだ。 「世の中は本当に糞ゲーばかりです。ステータスのバランスなんか何にも考えていない、ユーザーが色んなキャラクターを好きになるかもしれないのに、全く愛情もへったくれもないステータス設定。こいつを推して人気なキャラクターにしたいって云う魂胆が丸変わりのアイドルグループのそれより酷い運営側や製作側の腐った体質。ゲームバランスと商売は確かに矛盾しますよ? だけど、糞つまらないからねぇ。何百種類のモンスターでパーティを組めるRPGなのに蓋を開けたら、ユーザーはどいつもこいつも同じパーティばっかり。何千種類何万種類とあるカードゲームは、皆が同じカードを使ったり、デッキを構築したりする。ゲームじゃないですよ、ただの作業なんですよ」 原作者は日本のゲーム業界に異議申し立てしたいらしい。 「私はもっとスポーツライクなゲームがしたいんです。このキャラクターを使えば強い、このカードを使えば勝てる。そういうモノをやって一体何が面白いのでしょうか? 逆にそういうモノを子供達に遊ばせている親やゲームを提供する大人達は、子供のことを全く考えていないんです。ビジネス! ビジネス! ビジネス! 金儲けばっかり考えている。ふざけるなって話ですよ。ゲームはねぇ、映画や漫画や小説とは違うんですよ。映画だったら2時間、テレビドラマも1クール10話と考えても10時間、漫画だったら1冊なんてすぐに読めるし、小説はどんなに長くても二日あれば読破出来るんです。でもゲームのプレイ時間は何十時間、何百時間と掛かる。『ポケモン』や『モンスターハンター』はプレイ時間がカンスト(カウンターストップ)するまで遊ぶのが当たり前なんです! 人から大量の時間を消費するゲームの責任って私は凄く重い物と考えているんです。それなのになんですか!? 何処の会社のゲームもエロい衣装着た美少女ばかり出しやがって、性風俗産業か! って思いますよ。まぁ、私達の『カードマン』も編集者とか玩具メーカーに言われて、そういうキャラクターを出さざるを得ないんですけどね。そういう多くの人々の不満を解消したのが『カードマン』だったんです。」 『毎朝新聞』2018年12月31日夕刊8面『カードマンは何故大ヒットしたのか?』より
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