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ピコンとLINEの通知音が店内に響き渡った。
純一からだった。
「もうすぐ池袋」
と画面にはあった。
事前に乗る電車の時刻表を写メしてくれる純一だが、電車が遅れたのか、優菜の予想より遅かった。
店員が伝票を持ってきたので見てみると、
メニューには400円とあった紅茶が700円だった。
きっと食べ物とセットだと400円だったのだろうと優菜は瞬時に理解した。
純一とロクシタンカフェでゆっくりしたかったが、
来春のアパートの更新と車検代を貯めなくてはいけない純一は
「またそんな高い喫茶店入って」とLINEの文字からも呆れているのが伝わってきた。
それに純一はタバコを吸いながらゆっくりしたい様子だった。
とりあえずハチ公で待ち合わせをしてから、アップルストアの場所を確認し、
喫煙室のある、代々木公園近くのサンマルクカフェに入った。
服をあまり買わない純一はいつもと同じくたびれた黒いタートルネックに、黒のパーカー、茶色のロングコートにジーパンに黒のニット帽という出で立ちで、優菜はめいっぱいお洒落して来た自分に少し落胆した。
それでも純一は優菜の行きたい場所全てに付き合ってくれ、優菜を自由にさせるので、優菜としてはとても居心地が良かった。
テレビで見たばかりの渋谷ストリームでレモネードを買ってもらい、ヒカリエのテーブルで飲みながら、純一がレモネードが嫌いだという事をこの時優菜は初めて知った。
優菜の好きな食べ物や飲み物を真似する事が多い純一だったので、食の趣味が合うと思っていた優菜は少しショックを受けたが、久しぶりのポケモン抜きのデートは楽しく、40にもなって109まで純一に付き合ってもらった。
109の洋服は安くて可愛いけど、やっぱり、安っぽさが気になった。
純一から言わせると「自分が気に入ってれば何でもいいんだよ」との事だった。
そんな自由な発想をする純一が優菜は好きだった。
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