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「・・・魔法使いになりたい」
冬威は一周回って面白くなってきたので聖を助けるかどうかはともかくとして、この話題に乗ってみることにした。
「ようするに、魔法使いになる方法を教えろと」
「そう! そうなんだよ!! 知ってるか?」
「知らん」
「冬威はどこまで行っても冬威だよなぁ」
「ありがとう。褒めてくれて」
「で? 方法は?」
「そうだな・・・」
冬威はちょっと考えてから真顔で言う。
「三十まで童貞貫けば魔法使いになれるって言うよな。うん、聖ならなれる」
頑張れ! と言われてこんなに悲しかったことはない。
「そう、そうだな。頑張ろうぜ。二人一緒に!」
「いや、俺もう無理だから」
「は?」
「もう、無理だから」
「繰り返すなよ! それは自慢か? 自慢なのか!?」
「いやー、俺もう無理だわー。残念だなー」
「絵に描いたような棒読み!!」
「棒読みなんかどうやって絵に描くんだよ。馬鹿かお前」
「不潔! 不潔だわ! 冬威君はそんな人じゃないと思ってた!!」
「ま、こんな都市伝説なんかあてになんねえしな。聖が三十になれば自然にわかるとして」
ギャーギャー騒ぎ立てる聖をキッパリと無視、もといスルーして冬威は手近にたまたま持っていた広辞苑をパラパラとめくりながら独り言ちる。
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