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「空を飛びたいならいくらでも方法がある。まあ何のための飛行かにもよるがな・・・お前そもそもなんで空なんか飛びてえんだよ?」
「そりゃ・・・素早い移動の為?」
「そんなもん飛行機でもヘリでも事足りるだろ。つか移動目的なら自動車でも電車でも・・・」
「上空の景色を楽しみたいんだよ!」
「んなもんスカイツリーでものぼりゃいいだろうが」
「も、もっと上に行きてえんだよ! 634メートルじゃ足りねえっつーの!」
「それ以上上に行ったら酸欠で死ぬわボケ」
「っ、なら浮遊感はどうよ!? 空を飛んでるって言う独特の感覚をだなぁ・・・」
「その感覚をなんでお前は知ってる?」
「それは・・・」
「ジェットコースターでもバイキングでもフリーフォールでも体験できるからだろうが?」
「っ・・・、でもさぁ!」
「なんなら手っ取り早く逆バンジーでもスカイダイビングでも行って来いよ」
「・・・・・・返す言葉もございませんとも」
聖はサンタの正体を知った時のようなどうしようもない悲しさに襲われた。
「な? 空飛んだってそんな良いことねえだろ?」
「・・・」
「ついでに言うぞ? 水出すなら蛇口捻ればいいし、風出してえなら扇風機を回せばいい。火出してえならライターでもガスバーナーでも、光なら懐中電灯かペンライトだな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・そう言う事じゃねえんだよ!!」
聖は頭を抱えて四字熟語辞典に突っ伏した。
「・・・そう言う事じゃ・・・ねえんだよっ」
聖の拙い語彙ではほかに適切な言葉が見つからずがっくりと項垂れる他なかった。
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