第1章 親友

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いろいろ頭の中がぐちゃぐちゃのまま… 次の日を迎えた。 『ちょっと孝人っ入るわよっ』 バタバタと階段を登ってくる音がして 部屋のドアが開いた。 『…なんだよ…今日休みじゃん…』 もぞもぞベッドから起き上がった。 『…やっぱり忘れてるのね』 母さんが大きなため息をつく。 『え?』 『今日から合宿よ?』 『え……?』 『高校生になったんだからしっかりしなさいよっ。ほら荷物ー!』 急いで荷物かき集めて家を出る いつもの通学路を全力で走った。 そうだったそうだった…… 合宿だった…… ほんっとに忘れてた。 てゆうか時間やばいっ 門に大型バスが2台並んでいた。 みんながガヤガヤと乗り込んでいる ……ギリギリセーフっ 『孝人っおまえ、来ないのかと思ったよ』 笑いながら吉野と諒太がこっちを見ている。 『すっかり忘れてたんだよ…あー間に合った……』 走ったから息がまだ整わない。 『あー朝から笑える』 後ろの座席の吉野が思い出し笑いをする 『なんだよ吉野。思い出し笑いとかやらしいやつ…なぁ諒太』 隣に座っている諒太を見た。 諒太はこっちを見て柔らかく笑っていた。 思わず… ドキッとした。 昨日の激しいキスを……思い出した。 顔が熱くなるのが自分でもわかる… 静かに諒太の隣の座席に座り直した。 だからなんで今思い出すんだよ俺っ 心臓がまたドキドキしてきた…… 諒太が小声で俺にしか聞こえないように 『……どっちがやらしいんだか』 『……っ』 だから言うなよ…… ますますドキドキが止まらなくなる 落ち着け…落ち着け俺。 諒太は昨日の事なんてなかったかのように いつもの諒太だった。 そういやこの合宿…諒太も一緒だった……。 なんかもう逃げられないような気がする…。 と、とにかく…… 諒太とふたりっきりにならないように… 気、気をつけ…… ……気をつけるのもおかしいのか? ……このモヤモヤしたのは いったいなんなんだろう…。 学習合宿なんだし。勉強に集中しよ……。
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