第1章 親友

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『孝人…話があるんだ』 小学校からの付き合いの大切な親友。 いつもと違う諒太の真剣な表情を見て ただ事ではない………と 雰囲気的に感じていた。 高校に入学して半年… 県内でも1、2を争う進学校に翻弄される毎日 勉強も学生生活態度も常に平均的な俺。 学校屋上のベンチに座って諒太を見上げる 夕方の秋雲がゆっくり流れていた。 ………なかなか話を始めない諒太に 『話って………なに?大事な話?』 『…あのさ』 『うん?』 『ちょっと…立って』 『え?あぁ………』 諒太の隣に立った瞬間… ギュッと諒太から引き寄せられ 抱きしめられた。 『え………?ちょ、え?りょうた?どうし…』 『好きなんだ』 ………固まる俺。混乱する俺。 『孝人が好き…』 『好きって?え、ちょっ………離せっ』 『いやだ』 さっきよりも強い力で抱きしめてくる 『痛っ…ちょ、本気でやめろっ』 諒太の身体を引き剥がそうとして ………倒れこんだ。 『…っ痛』 見上げると諒太が俺の上に乗って見下ろしていた。 俺の手首を掴む諒太の手が熱くて… 『…だって孝人すぐ逃げるだろ』 『誰だって逃げるだろ…』
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