第2章 タイミング

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目が覚めると… 外はもう暗くなりはじめていた。 ベッドから起き上がり、熱をはかってみる 熱は微熱まで下がっている。 たくさん寝て、微熱に下がったから少し身体が軽くなった気がした。 時計を見るともう5時半 結構眠ってたんだな…。 下のリビングに降りてソファーに座る。 部屋がひんやりとしてるからストーブをつけた。 テレビのチャンネルを変えていると ピンポン… チャイムが鳴る。 ………誰だろう。 ドア越しに覗いてみると 諒太が立っていた…。 ゆっくり玄関のドアを開ける。 『あ……孝人、大丈夫か?』 心配そうに俺を見つめている諒太 『あぁ…もう微熱だし。平気だよ』 昨日の諒太とあの男の後ろ姿がパッと浮かんで またちょっとモヤモヤしてきた………。 『今日の授業のノート渡したくて…あがっていい?』 『え、あぁ…ノートごめん。上がって』 諒太がノートを手渡してくれる。 『………サンキュ、なんか飲み物…』 『いいよ、風邪引いてるんだし座ってな。自分でするよ』 頭をポンッと触られる。 ………そうゆうのさ…ドキッとするじゃん。 赤くなりそうな顔を必死で静める 俺の家だけど小さい時から遊びに来てるし、諒太は自分の家のようにいろいろ知ってる。 コップを二つ出して、俺にもお茶を注いでくれた。 しばらく…沈黙が続く。 ……昨日の事を聞きたいけど聞けない。 『あ、そうそう数学なんだけどさ、ここテストに出るらしいから要チェック』 諒太が授業ノートを広げて教えてくれる 『そうなんだ…りょーかい…。』 『………孝人、まだ熱あるんじゃないのか』 諒太から肩を引き寄せられ… 俺の額に自分の額をくっつけた。 『ちょっ…やめろよっ』 思わず離れる俺 『………熱はかっただけじゃん』 『い、いちいち近いんだよ』 『ふーん…』 にやにや笑って諒太が顔を覗いてくる 俺の手をギュッと握って手の甲にキスをされた… 顔が…熱くなる なんかくやしい……… 『じゃ…ゆっくり寝とけよ』 俺のほっぺに優しく触れて諒太は帰る仕度を始めた。 『…帰るのか?』 『あぁ、まだ微熱あるんだし、ゆっくりしとかなきゃ』 優しく微笑む諒太。 玄関に行く諒太を見てたまらなく寂しくなった。 気持ちより先に身体が動いてしまう 気がついたら諒太の腕を掴んでいた…。
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