第2章 タイミング

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『あー……えっと…』 諒太が襟をゆっくり正した…。 『……昨日、会ってたよな』 『孝人……何で知ってるの?』 『……俺、昨日見かけたんだ。おまえがあの…元カレと一緒にいるとこ』 言いながら胸がギュッと痛くなる……。 『……あのマンションで何してたの?』 諒太が俺を真剣に見つめる。 『…孝人に隠し事はしたくないし、やましいことはないから…ちゃんと話すよ』 諒太は俺をやんわりとベッドに座らせて 俺の隣にゆっくりと座った。 『…アイツ、名前は白石ってゆうんだけど… 白石とは1年ぐらい前に出逢って… 付き合ったのは高校入って…ほんの1、2カ月ぐらい。 …自分の気持ちに気づいて……別れたんだ。 けど…なかなか別れた事に納得してくれなくて。 たまに連絡きてた。』 『……うん』 『……勇気を振り絞って…親友の孝人に気持ちを伝えたけど………避けられたり…やっぱり気持ちを伝えなきゃ良かったんじゃないかって…クヨクヨしてた時に、白石からメッセージ来てるのに気づいて……。で、俺から連絡してしまって……』 ……さ、避けて…たわけじゃなかったんだけど…。 いや避けてたのかな… 諒太がクヨクヨしたって聞いてズキッとした。 『また白石が期待してしまったみたいで…そんなつもりじゃなかったんだけど……白石には悪かったって思ってる。で、昨日、白石の家できちんとお断りしてたら……ちょっと…その噛まれて』 『え…?!か、噛むって……噛まれたのか?!』 好きな人を噛むってどうゆうこと…… 『……その…何てゆうか……俺が孝人に取られる前に噛んで跡つけとこう……的な?』 『ごめん。……全然わかんない』 俺に取られたくないから……噛むのか? ちんぷんかんぷんな俺に ちょっと笑いながら耳元でささやかれた。 『……こうゆう事だよ』 諒太が俺の肩を引き寄せて首筋をカリッと噛んだ 『ぅあッ………な、な、何するんだよ!』 諒太がちょっと意地悪く笑いながら 『……孝人にも俺と同じ跡…付いたよ?』 『っ!』 なーるほど。 ………………じゃねぇし 白石のヤツ…諒太に跡付けやがって… なんか……想像したらイライラするんですけど。 『…………孝人って…敏感だよな』 『……そっ…そうゆう事言うなよっ。急に噛んだりするからだろ…』 諒太がハイハイと余裕の笑みを浮かべる。 そのまま柔らかく抱きしめられた。
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