第3章 初恋の相手

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翌日。 俺の熱も下がり体調はすっかり良くなった。 制服を着て洗面所で歯磨きをしていると ……昨日、諒太が付けた2ヵ所の跡が… 微妙に赤くなっていた。 …見えるかな 諒太に……噛まれた事を思い出して… 1人で赤くなる 朝から何考えてるんだよ 赤くなった顔を振り払った。 玄関に出ると 外は強めの雨が降っている 傘をさしていつものように諒太との 待ち合わせ場所に向かった。 いろんな学校の学生が通学路を行ったり来たりする中、足を止めて待ってくれている諒太の姿。 その姿が……なんだか愛おしくて…。 まるで恋人にでも会えるような気持ちになってしまう。 いつもは…いや以前は 待ち合わせの諒太を見つけても、こんな風にドキッとすることはなかったのに。諒太と唇を合わせる度に自分の気持ちの変化に戸惑っていた…。 俺に気づいた諒太が柔らかく笑う 諒太の顔をうまく見れないまま 『…おはよ』 『おはよ、孝人…どうした?まだ体調悪い?』 心配そうに覗きこむ諒太。 顔を近づけてきたので思わず離れてしまう 諒太が少しからかうように耳元で 『……あー……昨日の事…思い出した?』 『…な、なんの事だよ…ほら行くぞ』 諒太が笑いながらハイハイと隣を歩く 胸のドキドキを必死に抑えながら 諒太と通学した。 こんなことぐらいでドキドキしてしまうなんて 自分に困ってしまう……。
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