第3章 初恋の相手

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学校の授業のほとんどは 期末テストについての事ばかり。 2学期の期末テストは 来年度のクラス分けに関わる大切にテスト。 最近勉強に身が入ってないから頑張らないと… 特に……諒太には負けられない。 このところ…… 諒太にはいろいろ負けてるような気がして…。 どんなに力を出しても ……押し倒されると敵わないし… 背もいつの間にか諒太の方が高いし… 気持ちの上でも…。 せめて勉強だけでも勝ちたい。 俺の気持ちは久しぶりに 諒太への対抗心に燃えていた。 『孝人、今日一緒に勉強しない?』 目が合ってドキッとしつつも平常心を装う。 『え……と、どうしようかな』 『なんか予定あるの?』 『いや……その…勉強は1人でしようかな…って』 『そっか……。じゃぁお互いに頑張ろうな』 ふわっと優しく諒太が笑う。 わかれた諒太の後ろ姿にズキッとしてしまう。 本当は……もっと…二人で一緒にいたい。 なんでこんなに……切なくなってしまうんだろう 『……り、諒太っ』 諒太がびっくりしたように振り返る 『あ、のさ……やっぱり一緒に勉強しよう』 諒太が驚いたように微笑みつつ…… 『……1人でしなくていいの?』 『うん…その……俺…この前休んだし…わからないとこあったの思い出してさ……』 『オケ……じゃあウチ来る?』 諒太が一瞬…男の顔つきになったような気がしたが……。 諒太の家のソファーに押し倒された事が パッと頭によぎったが振り払う。 テスト勉強するんだし…… 気のせいだよな… 何考えてるんだよ……しっかりしろ俺 ドキドキしてしまう心臓の音を必死に抑えた。 『おじゃましまーす』 諒太の家の匂いがふわっと優しく香る。 『先に部屋に行ってていいからね』 そう言って奥に消える諒太。 俺は諒太の部屋に向かった。 子どもの時から今までいつもここで遊んで 泊まったこともある。 前から知ってる家なのに 今はどうしてドキッとしてしまうんだろう ……やっぱり好きに変わったから…か 制服のジャケットを脱いで 鞄から筆記具を出していると ガチャリと諒太が部屋に入ってくる。 『よし、勉強はじめよっか』
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