第1章 親友

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じたばたもがいていると… まさかのくしゃみが出そうになって 何でっこんな時に。 顔が歪む…。 諒太がプッと吹き出した…。 少しだけ……雰囲気が穏やかになり… 諒太が優しく起こしてくれる。 『突然ごめん…』 『マジ突然すぎるし』 思わず苦笑する。 『諒太…おまえさっきの…冗談だよな?』 『冗談』 『……なんだよーっもうマジ焦る!なんの冗談っ』 そう言って諒太の肩をバシッとする前に 手を掴まれた……… 『……冗談なわけないだろ。本気だよ』 手を握ったまま真剣に見つめてくる諒太 握られた手に汗がにじむ。 そ、それって…… 『…え…好きって…と、と友だちと…して?』 じゃないですよね… まねけな質問に 『…何で今さら友だちとして好き……とかで告白するんだよ……。』 『じ、じゃぁ……』 『孝人がノンケなのは知ってる。』 『…おまえさ、いつから?いつから……その恋愛対象ってこと…になるわけ?』 『……教えない』 『なんだよ、教えろよ』 『…孝人は俺のこと引かないの?』 『引くってゆうか…正直…混乱してる…し』 『………』 だって10年の付き合いの親友だし…。 遊んだり、ケンカしたり…… いろんな思い出が頭をよぎる。 しばらく沈黙が流れた…。 『ちょっと…考えさせて……ほしい。』 『……………わかった』 下に散らばった荷物をまとめて 『…じゃ』 足早に立ち去ろうとした……。 『孝人俺……真剣だから』 真剣な瞳で見つめる諒太………。 諒太を屋上に残して、階段を降りた 親友の真剣な告白に…動揺と混乱が入り交じる…。 こんなこと誰に相談したらいんだろう 今までは…何でも諒太に相談してたし。 俺にとっては本当に大切な親友…だった……。 授業を……受ける気になれず 図書館の一角でしばし過ごす。 図書館の窓から見える、流れていく雲を見ていた。
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