第5章 消えない痕

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3日間の期末テストが終わり 勉強から解放されたクラスメイトたちが 教室でにぎやかになる。 期末が終わるともうすぐ冬休み みんなのテンションも高くなる…。 俺は…とゆうと みんなのテンションの高さとは裏腹 心の中はずっと暗くて…… 明るい気持ちで過ごせなかった。 諒太とも…全く口を聞いてない 俺が…諒太となるべく会わないように避けていた。 …………今は話したくなくて。 諒太の口から光さんの名前を聞きたくなかった。 もう……忘れよう 忘れたい……あの口付けも抱擁も 好きだった気持ちも…… 思い出したくない 白石の事も。 今日も俺は帰りの予鈴がなったと同時に 教室を出て……靴を履いて急いで走る。 通学路も変えた…… 諒太と会わないように。 家に着いて急いで玄関のドアを閉める…… 走ったから息が荒くなる。 『おかえり』 聞き覚えのある声に振り向くと………… ……そこには今1番会いたくない相手 諒太が立っていた……。 俺の事を冷静な雰囲気で見下ろしてくる。 『!』 びっくりして玄関のドアで背中を打ち付けた。 『…ッ』 『なにしてんだよ、ほら』 俺を起こそうとした諒太の手を払いのける。 その瞬間、諒太の顔色が変わった…… 俺の顔を真剣に見つめてくる……。 俺は…とにかく冷静を装い心の動揺を必死に隠した。 『…何、勝手に入ってんだよ。』 『勝手にじゃないよ。おばさんには了承得て入ってる』 『……そ、そうかよ』 『…………』 くそ……母さんめ……。 この日に限って母さんは夜勤 もう出勤したあとだった。 今は……二人になりたくないのに…… なんとか切り抜ける方法を見つけなければ。 俺はスニーカーを脱ぎ…諒太の隣を通りすぎようとした時…… 諒太から腕を掴まれ…… 廊下の壁に押さえ込まれる……。 俺のジャケットとシャツをグイッと横に引っ張って 『……この痕はなんだよ』 『…!』 隠してたはずなのに……なんで… 俺はキュッと唇を噛む……。 白石にされたことを思い出して 身体が自然に震える そしていつの間にか涙が…一粒…二粒… ポタッポタッと廊下に落ちる。 何で…何で諒太の前で涙が出てくるんだよっ…。 溢れてくる涙が止まらなくて…… 俺を静かに見ていた諒太が無言で俺を抱え上げ… 2階の…俺の部屋に向かった。
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