第5章 消えない痕

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俺の部屋のドアを開けて… 優しくベッドに座らせられた。 ガチャンとゆっくり部屋のドアを閉めて 諒太は俺の顔の位置に合わせて目の前に座る 俺の太ももに優しく手を乗せ…… …ポケットから出したハンカチで涙を拭いてくれた。 それから……真剣な顔つきで 『………………これ、白石だよね』 俺は…パッと諒太の顔を見る 白石に……されたことが再び頭に思い浮かび…… 身体が震えてくる。 震える身体を諒太がギュッと抱きしめた……。 ……すごく……安心する俺…… 諒太の背中をギュッと握ろうとした時…… 俺の首もとに諒太が顔を埋めて… 少し苦し気に 『…………ごめん』 『…………』 『守ってあげられなくて……』 諒太の肩が震えている。 俺は…諒太の背中をギュッと抱きしめた……。 諒太の匂いに安心する…… もう……何だっていい 過去の事とか…もうどうでも良くなった。 さっきまでのイライラとモヤモヤは何だったんだろう…… ふと……光さんの事が頭によぎる 『……諒太………光さんの事………今でも好きなの?』 諒太がびっくりしたように俺の顔を見つめる…… 『白石から聞いたんだね……』 『……驚いだよ。諒太の過去……何も知らなかったから…』 言いながら心の中でズキッと音をたてる…。 諒太は黙って俺の唇をふさいだ 今まで以上に強く…深い口付けだった。 『ッ……んッ……ッ………』 ちゅっと俺の舌を優しく吸って…… 『……俺がまだあいつの事を好きなら……孝人を抱いたりなんかしない。好きって言ったりしない……』 そのままベッドに押し倒される…… 口付けをされながら…優しく俺のシャツのボタンを外していく。 俺はとっさに諒太の手を掴んで…… 諒太の目を見ながら 『……白石に付けられた痕が……まだ違うところにも着いてるかもしれない……だから、消えるまで…待って』 諒太に痕を見られたくなくて…… 俺は目を伏せる。 俺の手をゆっくり退けながら 『……だったら尚更俺が消さなきゃ』 諒太は…再び俺のシャツのボタンを外して左右に開く…… 諒太の顔色が変わる。 白石から付けられた痕が無数にあったから…… 俺は居たたまれなくて…… ベッドのシーツをギュッと握って目を伏せた。 諒太がゆっくりと白石が付けた痕に 口付けをしていく……。
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