第1章 親友

6/15
前へ
/138ページ
次へ
昼休み。 あー…なんか憂鬱… いつもつるんでた諒太なのに。 諒太と二人で会うのが憂鬱だなんて もうこうゆうの終わりにしたい…。 校内だし…誰かに見られるのも嫌だし。 とりあえず… 体育館裏の倉庫に諒太を呼び出した。 諒太を押し込み、倉庫の戸を急いで閉める。 諒太がちょっとイラついた感じに振り向きながら言った。 『…よっぽど見られたくないんだな』 『あったり前だろ…』 『……』 『……あのさ、諒太。もうこうゆうのやめない?』 『……は?』 『俺は……前みたいな諒太との関係に戻りたい』 真剣に言った……。 『小学校の時から…おまえと過ごして本当に楽しかったし、これからも前みたいにバカしたり、』 ガンっと諒太が壁を殴った…。 思わず、身体がビクッとなる。 …お、怒ってる? 『…わかった。』 『お、おれ諒太のこと、友達としてホント好きだし。これからも仲良くやっていきたいんだよ…』 なぜか言いながら涙が出る俺。 っなんで? なんで泣いてるんだよ俺。 『なぁ…諒太、戻れないのかな…』 諒太の肩を掴む手が震える。 『わかったって。俺も…悪かったよ。ごめん。』 『諒太…よかっ』 『そのかわりさ』 『ん?』 真剣な眼差しで諒太が俺を見る…。 『諦めるかわりに、キスしていいかな』 『……え?』 え?き、キス?って… 諒太がゆっくり近づいてくる… 『…それで、孝人の事諦める。前みたいな友達の関係に戻る……戻らせて。』 もう…諒太の息がかかりそうなぐらい近い… 背中の壁がひんやりと冷たく感じた。 『…りょ』 待って… 最後まで言わせてくれないまま 唇をふさがれた。 諒太の手が肩にくい込む… …なんてゆうか、本当に優しいキスだった。 『…んっ』 髪を優しく触られて… 唇が…ゆっくり離れてゆく。 それから… 優しく…優しく抱きしめられた。 首筋に諒太の息がかかる。 『…り、りょ…た』 『…孝人ありがとう。』 そう言って諒太は倉庫を静かに出ていった…。 ……………。 ペタんと床に座り込む。 『……はぁ』 これで、前みたいな関係に本当に戻れるのかな…。 ……そういえば、俺、ファーストキスじゃん。 心臓の音がうるさい……。 なんでこんなにドキドキしてんだよ、俺。 しっかりしろよ…キスぐらいで。
/138ページ

最初のコメントを投稿しよう!

447人が本棚に入れています
本棚に追加