第1章 親友

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…まだ心臓の音がうるさかったけど教室に戻った。 戻ると諒太の姿がない……。 …鞄もない。 諒太? 『あー孝人、なんか諒太…体調悪いみたいで早退するって』 『え…そうなんだ』 体調…悪かったっけ? 俺が席につくと、前の席にカタンっと吉野が座って…顔を覗きこんできた。 『おまえら…なんかあったの?』 『…え?なんかって?』 まさか…バレた?キス見られた? 心臓がまたドキドキしはじめた… 『いや、今日全然話してなかったからさ』 『…あぁ、まぁ…たまたまだよ』 なんだか声がかすれる。 『仲良いから…話してないの不思議だった』 『毎日一緒につるんでると、そうゆう時もあるんだよ』 『ふーん、ま、いいや。ところで孝人さ』 『ん?』 『今度の土日の学習合宿参加する?』 『あぁする予定、てゆうか勝手に親が名前書いて提出してた』 『…それはもう行くしかないな』 『だろ?』 吉野と笑い合う。 なんか今日久しぶりに笑った気がする。 『…孝人』 『なに?』 『諒太が相手しなくなったら俺が相手してやるよ』 『なんだそれ、本当、面白いやつだな』 思わず吹き出してしまう。 『まぁ、じゃまたな』 吉野と笑いながらわかれ、授業が始まった。 …授業中も諒太の事ばかり頭によぎる。 優しく捕まれた肩がまだ熱い感じがして… キスをする諒太の顔が浮かび 顔が熱くなってきた。 何思い出してんだよ… ファーストキスが男だなんて… しかも諒太。 ……俺は女の子が好きなんだよ あー……もー…… なんかイライラする……。 …でも、これで友だちの諒太に戻った…んだよな? そうだよな… 忘れよう …キスもなかったことに…しよう。
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