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父さんも母さんも……固まる。
どんな顔していいかわからず………
うつ向きそうになったけど………
俺はしっかり前を向いて
二人の顔を真剣に見つめた。
『………諒太くんって…仲良しのあの諒太くん?』
母さんが動揺しながらもゆっくりと口を開いた。
『………うん』
父さんが持っていた箸を置いてお酒の入っているグラスに口を付けて…ごくっと一口飲んだ。
『孝人……相手は同じ男だぞ。同性同士の恋愛に………覚悟はあるのか?』
父さんが真剣に俺の顔を見つめる。
『難しい恋愛だってことは……わかってる。諒太の事が………本当に大切で………諒太もそう思っ』
『孝人』
父さんがグラスをガンッとテーブルに置いて
強い視線で俺を見つめる………。
『諒太くんは…やめておくんだ』
『………どうして?人を好きになるのに………性別なんて関係ない…と俺は思ってる。』
『………父さんも母さんも恋愛に差別するつもりはない………が、柳瀬さんとこは………諒太くんは柳瀬さんが経営する会社の跡継ぎなんだ』
『………知ってる』
『…柳瀬 敬、諒太くんの父親は父さんの学生の頃からの親友だ………。敬がどんな思いで……諒太くんを養子に迎えたか………』
ハッとして俺は父さんの顔を見る。
『父さんも母さんも……諒太が養子だって知ってるの?』
『………ええ。知ってるわ』
『………………』
知らなかったのは………俺だけか。
自分だけが知らなかったのがショックで……
仕方がない理由なのはわかってる……。
でも……
いろいろな感情がこみ上げてきて
涙が目に浮かんできた………
唇をキュッと噛む。
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