第10章 諒太の母

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1月3日 俺は諒太からのmessageで自宅に誘われた。 1週間振りに諒太と……会う。 父さんや母さんから言われた言葉が頭をよぎって……どんな顔をして会ったらいいのか……。 諒太の家の広々とした門構えの前に仁王立ちしてしまい……なかなか呼び鈴を押せなかった。 『あら……孝人くん?』 穏やかに微笑む諒太のおばさんが 執事さんと車から降りてくる。 『あ……おばさん………』 めちゃめちゃ動揺してしまう。 『どうしたの?入りなさい。諒太に会いに来てくれたのよね?』 ふわっと微笑み…おばさんが俺の手を握って門の中に入れてくれた。 おばさんの笑顔を見て胸がギューッとなっていっぱいになった………。 『おばさん………』 『…………?さ、上がって、諒太なら自室にいるから。……あの子、孝人くんが来るのを楽しみにしてるの』 にっこりと微笑む諒太のおばさん…… 俺はおばさんの目を真剣に見つめた。 『おばさん…ごめんなさい。俺………』 『どうしたの………?』 おばさんの笑顔を見て俺は決心した。 やっぱり………諒太の幸せを考えなくちゃ…… 『何でもないです。おばさん…ありがとう』 『………?』 俺は靴を脱ぎ…諒太の部屋へと向かった。
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