三吉鬼

1/31
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/31ページ

三吉鬼

「くねじゃ、くねゆすりが現れた」  麓町に住む男は神社を指さし、大きな声で叫んだのだと言う。声を聞きつけた町の者達は、直ぐに駆けつけたと報告があった。  くねゆすり。 「ホレ見てけろ」  男の指の先には、巨大な岩が転がっていたのだと聞いている。どれくらい巨大なのかと言えば、とっても大きい、らしい。  直接聞いた訳では無く、いまいち伝わらないが、軽トラより大きい岩らしい。その岩が神社の横に突如現れた事が始まりとなったらしい。 「この岩、もしかして」  集まって来た町の人間達もやはり驚いていたらしい。 「ああ、間違いねぇ。この間川をせき止めた大岩だぁ。くねのたたりじゃあ」  近くを流れる小川も岩でせき止められたらしいと、依頼主、月藻典子(つきものりこ)は言った。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!