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第二人格 偽善者【Hypocrite】
チャイムが鳴ると同時に物凄い勢いで石田がクラスから出で行くのを尻目に物凄い勢いでこっちに向かってくる女がいる。
正義の味方が登場だ。
「あなたねぇ!授業中にガム食べていいかなんて聞くなんてふざけてるの??」
俺の机をドンと叩きながら俺に言いよる正義の味方。黒髪ロングに綺麗な整った容姿を持つ学級委員長の朱凰麗凪だ。
俺は全員に聞こえる声で
「先生が良いって言ったんだからいいじゃん!なんでそんなに怒ってんだよ?あーひょっと僕わかっちゃったかも!朱凰さんって石田先生の事好きなんじゃないのー?」
クラスがざわめき始めた。あえて朱凰を煽り俺は朱凰に心理戦をけしかけた。しかし朱凰は学年一の学力を誇る。その程度の煽りには全く乗らない。
「そんなわけないでしょ??他の生徒の邪魔になるからやめなさいって事よ!」
「あなた良い加減にしないとクラス担任の佐藤先生に言うわよ?」
「言っていいけどさ…朱凰さんのせいでまた俺の毒牙の餌食が増えちゃうかもね」
「あなた…相変わらず最低ね」
朱凰が呆れたような顔でため息をつくと隣の席の星国が俺に書き終えたノートを渡す。
「先生、ノート書き終わりました」
「よろしい」
「劉紅君!星国さんにノート取らせてるの?ガム噛んでる暇があるなら自分でノートくらい取りなさいよ?」
それを聞いた劉紅は閃いたように朱凰にこう返した。
「そんな味気ないこと言うなよ?ガムだけにな?あはははっ!」
「全く面白くないから!星国さんこんな奴のノートなんて取らなくていいのよ!」
「朱凰さんには関係ないから、何も知らない偽善者のくせに」
「え?星国さん今なんて言ったの?」
「別に…」
キーンコーンカーンコーン!と帰りのホームルーム開始のチャイムが鳴り冴えない太めの中年男担任の佐藤先生が入ってきた。
「おーい!帰りのホームルーム始めるぞ」
「だってよ朱凰さん!」
「この続きは放課後話しましょう」
「了解!じゃあ放課後屋上で待っててくれ」
「分かったわ」
(まぁ…行かねーけどな?)
朱凰の俺の中での評価は5段階で2だ。
学年一の学力を誇りながらどこか容量が悪く全てのことを上手くやろうとするタイプの女だ。あぁ言うタイプの女は必ずどこかで失敗する。それに上の人間が扱いづらいタイプだな。
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